前作『アミ 小さな宇宙人』を読んで、心のどこかがじんわり温かくなった方は多いのではないでしょうか。
私もその一人です。そして今回、続編である『もどってきたアミ』を読み終えて、再び胸の奥がぽっと灯るような感覚に包まれました。
この本は、ただの“子ども向けSF”という枠を軽々と超えて、「人間って何?」「愛って何?」という根源的な問いに、静かに、でも確かに光を当ててくれる作品だと思います。
アミとの再会、そして新しい旅のはじまり
物語は、前作でアミと出会った少年ペドゥリートが再びアミに導かれ、宇宙を旅するところから始まります。
今回はヴィンチアという少女も加わり、三人でさまざまな星を巡る旅が展開されます。
印象的だったのは、“恋愛としての愛”と、“宇宙的な普遍の愛”の違いがテーマになっているところ。
ヴィンチアに対して芽生えるペドゥリートの気持ちは、思春期のときめきとして自然でリアルです。でも、アミはそれとは別に「もっと大きな愛がある」と教えてくれるんですよね。
正直、最初は「そんな高尚なこと、子どもが理解できるの?」と思いました。けれど読み進めるうちに、それが“理解”ではなく、“感じること”なんだと気づきました。
この本に書かれていることって、理屈じゃないんです。心で感じること。素直になって読めば読むほど、スッと心に入ってくるようにできているんです。
この本がくれた気づき
この本を読んで一番心に残ったのは、「進化って、技術や知識だけじゃない」ということでした。
アミが言うには、本当に進化している文明は、愛を中心にして社会を築いているんだそうです。
逆に、愛が欠けた文明は、どれだけ科学が発達してもいずれ滅びてしまう…。
これはまさに、今の私たちが直面している課題そのものだと思いました。
AIやテクノロジーが進んで便利になっていく一方で、人と人との心のつながりはどこか希薄になってきているような気がします。
そんな現代に、この本が伝えるメッセージはすごく大切だと感じました。
あと、印象的だったのは、「愛のある行動ってなんだろう?」と自分に問いかけるようになったことです。
大きなことをしなくてもいい。目の前の人に優しくすること、思いやること、ちょっとした助けを差し伸べること。
そういう小さな行動が、宇宙的な視点から見たらとても価値のあることなんじゃないか、と思えるようになりました。
読みやすいけれど、深い
文章自体はとても平易で、子どもでも読めるように書かれています。
けれど、その中に込められたメッセージはとても深く、読む人の年齢や経験によって受け取り方が変わるように思います。
私自身、大人になってからこの本を読んだからこそ、「これはただの物語じゃないな」と感じられました。
スピリチュアルな要素が苦手な人でも、構えずに読んでみてほしいです。
説教くさくなくて、むしろ優しくてユーモラスなやりとりが多いので、読み進めるうちに自然と心が開いていくのを感じます。
まとめ|“愛のある世界”を、少しでも広げたい
『もどってきたアミ』は、読む前と読んだ後で、少しだけ世界の見え方が変わる本です。
壮大な宇宙の物語なのに、読むと自分の毎日を見直したくなる。
そんな不思議な力があります。
特別なことは何もできないかもしれないけれど、自分の心に少しでも愛を持って行動すること、それがきっと大切なんだと思わせてくれる作品でした。
アミの言葉を借りるなら、「愛こそが進化」なんです。
その進化の一歩を、自分自身から始めてみたくなりました。
この作品は、今という時代だからこそ、多くの人に読んでほしい一冊です。
気になった方は、ぜひ手に取ってみてください。そしてアミと一緒に、あなた自身の“愛の旅”を始めてみませんか?
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