『ホツマツタヱによる古代史の謎解き』感想 〜もう一つの日本史が、今動き出す〜

スピリチュアル古代史

「歴史とは、勝者が都合よく編纂した物語である」とはよく言われる言葉ですが、まさにその真意を突くような一冊に出会ってしまいました。それが『ホツマツタヱによる古代史の謎解き』です。この本は、一般的な日本の古代史観を揺るがす、いや、ある意味では「解き放つ」ような視点を提示してくれました。

「ホツマツタヱ」と聞いてピンとくる人は少ないかもしれません。実際、私もこの書物の存在を知ったのはつい最近です。古事記や日本書紀よりも古く、美しい五七調の和歌体で記されたこの文書は、日本の神代や天皇の系譜、政治、文化について驚くほど詳細に記しているといわれています。しかも、その内容は、私たちが学校で習った歴史とはかなり異なり、むしろ真逆とさえ思えるほどの“もう一つの真実”を描いているのです。

この本の魅力は、単に「古文書を紹介する」だけにとどまりません。筆者はホツマツタヱの中に描かれたエピソードを丁寧にひも解きながら、それが現代に伝わる神話や風習、地名などとどう繋がっているかを、ひとつひとつ紐づけていきます。たとえば、アマテラスとスサノオの関係や、出雲神話の成立過程、天皇の血統にまつわる“本当の背景”など、どれもが「そういうことだったのか!」と膝を打ちたくなるものばかり。

特に心を打たれたのは、歴代の神々や天皇が「実在した人物」として描かれている点です。学校では「神話=空想」と教わりましたが、この書物を読むと、彼らが実在し、それぞれに名前があり、人格があり、政治的判断を行っていたという実感が湧いてきます。アマテルカミ(アマテラス)は女性ではなく男性だった? スサノヲは乱暴者ではなく、民を救った賢者だった? 目から鱗の連続で、読み進める手が止まりませんでした。

また、この本では現代の日本文化や言語にも、ホツマツタヱの影響が色濃く残っていることが示唆されています。「言霊」や「和の心」、「清き明きまこと」など、私たち日本人が無意識のうちに大切にしている価値観が、実はこの書の中にすでに明文化されていたという指摘には驚かされました。

一方で、学術的な裏付けについてはまだまだ議論の余地も多く、偽書説や民間伝承に過ぎないという見方もあります。しかし、本書の著者はそうした声にも誠実に向き合いながら、独自の視点と研究に基づいて冷静に論を進めており、「信じるか信じないか」は読者自身に委ねるというスタンスにも好感が持てました。

私はこの本を通して、これまで信じてきた「常識」に揺さぶりをかけられました。決して陰謀論的ではなく、むしろ丁寧に、誠実に、もう一つの日本の姿を描き出してくれた本書は、これからの時代の“新しい教養”としても価値があると感じています。

歴史に興味がある方、神話が好きな方、日本人としてのルーツに関心がある方には、ぜひ一度手に取っていただきたい一冊です。そして何より、「今までの常識に違和感がある」と感じていた方には、きっと大きな気づきがあることでしょう。

ホツマツタヱという、忘れられた古代の声が、今、再び私たちに語りかけてきています。その声に耳を傾けることが、これからの時代を生きる私たちにとって、大切な指針となるのではないでしょうか。

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