「人間が本当に幸せになるためには、何が必要なのか？」
この問いに対して、ここまで明確な答えを示してくれる本が他にあるでしょうか。
『アナスタシア 響き渡るシベリア杉シリーズ 第3巻 愛の空間』は、そのタイトルが示す通り、“愛”を中心に据えた深いメッセージに満ちた一冊です。読む前は正直、「愛の空間って何だろう？」と半信半疑でした。でも読み終えた今、その言葉の意味が少しずつ自分の中で形を持ち始めたように感じます。
この巻で語られるのは、単なる恋愛や感情としての「愛」ではありません。人間が自然とともに生き、家族を育み、大地に感謝して生きていく“生の本質としての愛”です。アナスタシアが提唱する「愛の空間」とは、ただ心地よい場所という意味ではなく、人間が魂の奥深くから喜び、成長し、本来の力を取り戻していけるような、そんな神聖な空間のことを指しています。
この空間は、自分自身と深く向き合い、愛する人とともに築くことができる場所であり、それは具体的には家庭菜園や土地、住まい、子育ての環境などにもあたります。彼女は一貫して、“自然と共にある暮らし”が人間の本質的な幸せにつながると語り、そのためには一人ひとりが「自分だけの愛の空間」を作ることが大切だと言います。
特に心に残ったのは、アナスタシアが「家とは単なる建物ではなく、魂が安心して羽を休める場所であり、未来の子どもたちに愛と祝福を伝える場である」と語る場面です。現代の忙しい暮らしの中で、私たちは“住まう”ことの意味を忘れがちです。でもこの本を読んで、家や庭、食卓、会話の一つひとつに“愛”を込めていくことで、私たちの人生はもっと豊かに変わっていけるのではないかと感じました。
また、この巻では「出産」や「子育て」についても非常に深い洞察が語られています。子どもは偶然ではなく、宇宙の意志と親の意識が合わさった奇跡としてこの世にやってくるという考え方には、神秘と感動を覚えずにはいられません。特に、子どもを迎える空間をどのように整えるか、その子の未来にどんな思いを託すかが、いかに重要かを語る部分は、これから親になる人たちにとって貴重な指針となることでしょう。
もちろん、アナスタシアの語る世界は現代の常識とはかけ離れた部分もあります。植物と心を通わせたり、遠隔で思念を伝えたりと、まるでファンタジーのように感じる方もいるかもしれません。でも、彼女の言葉には常に一貫した“真理”があります。それは、「私たち一人ひとりの内側に、宇宙とつながる智慧がある」ということです。
実際、このシリーズを読み進めるうちに、自分の感覚が少しずつ変わっていくのを感じました。自然を前よりも愛おしく思えるようになったり、庭の草花にふと話しかけたくなったり、自分の言葉や思考にもう少し丁寧でいようと思ったり。小さな変化かもしれませんが、それこそが「愛の空間」への第一歩なのかもしれません。
現代は情報にあふれ、スピードが求められる時代です。でもそんな中だからこそ、アナスタシアのような存在が、私たちに「本当に大切なこと」を静かに、でも力強く思い出させてくれるのだと思います。
豊かさとは何か。
自由とは何か。
家族とは何か。
そして、愛とは――？
この第3巻は、そういった根源的な問いに正面から向き合い、「本当の豊かさは“愛に満ちた空間”から生まれるのだ」という確信を、読者の心にそっと灯してくれる一冊です。
人生のどこかで立ち止まって、深呼吸をしたくなったとき、ぜひこの本を手に取ってみてください。読むことで、自分の心の奥にある“愛の空間”が、静かに目を覚まし始めるかもしれません。
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