【アナスタシア第9巻感想】『アナスタ』｜魂の奥底に響く“原初の記憶”と出会う時

アナスタ——
それはただの名前ではなく、魂の奥に眠る「神聖な記憶」を呼び覚ます響き。

『アナスタ（アナスタシア・ロシアの響きわたる杉シリーズ第9巻）』は、これまでの8巻までで語られてきた壮大なメッセージが、より精妙で深い次元へと突入していく、シリーズの中でも特に“神秘性”と“精神性”に富んだ一冊です。

この巻の中心となる存在「アナスタ」は、アナスタシアの娘であり、次世代の光そのものの象徴です。

彼女は、普通の子どもではありません。
生まれながらにして、宇宙の記憶、自然の叡智、そして人類の進化の鍵を魂に宿した存在として描かれています。

彼女の視点、彼女の語る言葉は、子どものように純粋でありながらも、深遠な真理を内包しています。
読んでいると、自分の中の“内なる子ども”が目覚めるような、どこか懐かしくも神聖な感覚が広がっていきます。

本書で強く感じるテーマの一つが、「神聖な女性性」の復活です。
アナスタやアナスタシアを通して語られる“創造する母”という存在は、単なる生物学的な意味ではなく、宇宙を創る力、自然を育む波動、そして愛そのものとしてのエネルギーです。

現代社会が見失ってきた「受け入れる力」「包み込む愛」「静けさの中の強さ」が、アナスタの姿からは静かに、けれど力強く伝わってきます。

女性に限らず、すべての人の中にある“女性性”が呼び覚まされるような内容です。

本書の最大の特徴は、「未来」が単なる希望や予測ではなく、「今、すでに始まっているリアルな現実」として描かれていることです。

こうした内容は、単なる理想ではなく、“読者の中にある何か”を深く共鳴させてくれます。

アナスタは語ります。

「想像することは、創造すること。あなたが思い描いたものが、宇宙に振動を伝えて世界を創る」

このシンプルで力強いメッセージは、私たち一人ひとりがどれだけの創造力を持っているかを思い出させてくれます。

言葉、感情、思考、意図——
そのすべてがエネルギーであり、世界に影響を与えている。
だからこそ「今、どうあるか」が何よりも大切だと、本書は優しく教えてくれるのです。

『アナスタ』を読むと、ただ情報を受け取るのではなく、自分の“波動”や“在り方”が変わっていくような不思議な感覚があります。

それはおそらく、本書が単なる“本”ではなく、「魂のコードを震わせる装置」のような働きをしているからかもしれません。

この本を読み終えたとき、あなたは「何かを理解した」というよりも、「何かを思い出した」と感じるかもしれません。

それは言葉にならない、けれど確かに存在する“魂の記憶”。
『アナスタ』は、その記憶にそっと触れるための、美しく神聖な一冊です。