本がつなぐ小さなご縁──フリマサイトでの取引で感じた人の温かさ

体験談

私は普段、読み終わった本をフリマサイトなどで出品することがあります。本は単なる商品ではありますが、扱っているうちに「本が人と人をつなぐ存在」なのだと感じることが多々あります。今回の体験は、まさにそのことを実感させられる出来事でした。

先日、フリマサイトで取引をした際に、私の不注意から発送を誤ってしまいました。購入者様に別の商品を送ってしまい、大変ご迷惑をおかけする結果となりました。
私はすぐに状況を確認し、正しい商品を個別に発送しました。さらに、お詫びの気持ちとして、代金を返金しました。わずかな額ではありますが、誠意を少しでも形にして伝えたいと思ったのです。購入者様にはご迷惑をおかけしたのに、それでも気持ちよく取引を終えていただければという一心でした。
その際に購入者様の住所をお聞きして、個別で荷物を発送しましたが、振り返れば必ずしも良いやり方ではなかったと思います。悪用するつもりなど全くありませんが、購入者様の名前や住所を知ってしまうことになります。本来であれば、まずは冷静に検索して他の方法を調べるべきでした。初めてのことだったので焦ってしまい、判断が早計だったのかもしれません。
とはいえ、すでに住所を伺ってしまった後でしたので、お詫びの文章を封筒に入れて個別発送を終え、なんとかお取引を無事に完了できました。正しい対応ではなかったかもしれませんが、購入者様はとても温かく受け止めてくださり、結果的には本当に良いお取引ができました。
数日後、その方から思いがけない贈り物が届きました。中身は6個入りのどら焼きの詰め合わせ。丁寧な包装を見た瞬間、胸が熱くなりました。商品代金よりも高いであろうお菓子をわざわざ送ってくださったのです。こちらが迷惑をかけた立場なのに、逆に温かいお心遣いをいただいたことに深く感動しました。
普段の取引は、ほとんどが匿名で完結します。顔を合わせることもなければ、長く交流するわけでもありません。それでも、誠実に対応すれば相手に伝わり、思いがけず心の通うやり取りにつながるのだと改めて実感しました。
本は知識や物語を運ぶだけでなく、人の縁までも運んでくれるのかもしれません。今回の出来事は、ただの「売った」「買った」という取引以上のものを感じさせてくれました。私にとっては、今後も忘れられない体験のひとつになったと思います。
本を通じて生まれるこうした「小さなご縁」を大切にしながら、これからも本と向き合い、活動を続けていきたいです。そして、どんなに小さな取引でも、その先には必ず「人」がいて、お互いの誠意が重なり合ったとき、想像もしなかった温かいやり取りが生まれるのだと、今回の出来事が教えてくれました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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